園長のことば (2019.5月)

 暖かくなり、生き物が元気よく活動し始めたことがわかります。早朝、耳を澄ますとたくさんの鳥のさえずりが聞こえてきます。気持ちのよい朝だと思いたいのですが、黄砂や花粉の影響なのでしょう、なんとなく埃っぽく空も霞んでいるように感じられます。
 子どもたちは園庭で、いろいろな生き物を見つけて観察しています。捕まえた虫やカエルをうれしそうに見せにくる子もいます。玄関ホールのところで真剣な表情で図鑑と見比べている子もいます。そのような姿を見て至急虫取り網や観察用ケースを補充しておかなくてはと思い、ネットで注文しました。2.3日で届くだろうと思っていたのですが、いつまでたっても届きません。おかしいなと思い、ホームページで確認したところ、虫取り網は連休明け、観察用ケースに至っては5月末になると判明しました。でも、商品は発送済みになっているのです。もしかしたら海外から船便で来るのかなと思ったりもしたのですが、それにしては配送料もかかっていないので、???です。観察用ケースが届く頃には、興味の対象が他へ移っているかもしれないと思うと少々残念な気がします。
 いよいよ5月から元号が令和です。天皇陛下の代替わりです。昭和から平成へ変わった時のことをつい先日のように思うのですが、あれから30年経ったのですね。昭和生まれの私としては、昔の人になってしまったような気がします。園児から見れば、充分昔の人なのでしょう、ついさきほども「じいちゃん、これなあに?」と事務室へ入ってきた新入園児さんから尋ねられました。

 

 

園長のことば (2019.6月)

 記憶をさかのぼってみても、今年ほど毛虫が発生したことはないように思います。カラフルな毛虫が圧倒的に多く、黒色の毛虫がそのなかにぽつんぽつんと混じっています。カラフルな毛虫をよく見れば、エリックカールの「はらぺこあおむし」に見えなくもなく、可愛いような気がしなくもありません。そこで、毛虫を何匹か飼って、蛾になるまでの様子を観察すれば、たのしいのではないかと思ったりしていました。   それが先日、私の首に何かがいるような感触があり、手ではらうと、黒色の毛虫がポトリと落ちてきたではありませんか。卒倒しそうになりました。おかげで毛虫を飼育観察してみようという気も失せてしまいました。先生たちはほっとしていることでしょう。しかし、カラフルで可愛らしく見えなくもないのに嫌われる毛虫って不憫なような気もします。ダンゴムシは人気なのに!
 今年は、毛虫が大量発生しているだけでなく、ハエが巨大化しているような気もします。アリも活動的な気がします。気のせいなのかもしれませんが、なんとなく自然災害の予兆のような気がしなくもありません。
 そういえば、先日の園内研修会での子どもたちの様子も活発で、活動的に見えました。今回は、0.1.2歳の保育を見ていただいたのですが、おひるごはんの準備の時のことです。ある2歳児さんがとても嬉しそうな表情で手をふりながらカープの歌を歌い始めました。すると、何人かの子がそれに合わせて同じように手をふりはじめました。すると、まだよだれかけをつけている1歳児のMくんが、その様子をちらりと見て、すました表情で同じように手をふりはじめたではないですか。その光景はじつに微笑ましいものでした。

 

 

園長のことば (2019.8月)

 昨年の今頃のことを思うと、今年は雨があまり降りません。水不足になるのではと心配になります。気温は、昨年のように朝から30度を超えて暑くてたまらないということもなく、過ごしやすい日が続いています。ただ、夏でも30度を超えることが珍しいヨーロッパで40度を超える猛暑といった報道があり、数日おきに流れてくる世界各地の地震速報を思うと、地球に何かしら変化が起きつつあるように感じられます。
 自然災害に備えて、避難計画や備蓄品の見直しを進めてていますが、万全な対策というのはなかなか難しいと感じています。
 昔であれば「運が悪かった」という言葉でかたづけられていたのでしょうが、いまは、事故や災害に限らず、何らかの問題が起きると必ず原因の究明と対策が求められます。
 もし行政関係者が、「運が悪かった」などと発言しようものなら凄まじいバッシングを浴びることでしょう。それはいまの日本社会に、より安全な社会でならねばならない、より安心して過ごせる社会でなければならない、より便利な社会でなければならない等々、「より~~でなければならない」といった共通認識があるからでしょう。
 ですから、そのような社会をめざしてみんな努力しなければならない、みんな頑張らなければならないということになるのでしょうが、それを自分の身に置き換えて考えてみるとかなりしんどいことのように思われます。
 「いまのあなたがいい」と言われるのと、「あなたはもっとできるはず、もっとがんばれるはず」と言われるのではどちらがよいでしょうか。頑張れというのは、いまのあなたではまだ十分ではない、ダメだということですから。夫婦の間であっても、親子の間であっても、行き過ぎた励ましは、こころを疲弊させてしまうでしょう。
 幼児期は「どの子もその子らしさを、大切に」されて過ごすことができることが大事ですね。

 

 

 

園長のことば (2019.9月)

 来月から3歳以上児保育料の無償化が始まります。子育て家庭にとっては喜ばしいことです。保育料が無償化されるということは、いままで保護者負担だった部分も、税負担にかわるということです。給食費等は別ですが。・・・
 つまりいままで以上に税金が投入されることになりますから、その税金の使途については厳格にチェックされることになります。具体的には、3歳以上児の保護者の就労実態と、保育時間の関係が適正かどうかというところを見られることになります。
 1号認定では、就労は認定条件でありませんが、2.3号認定は、保護者の就労等が条件です。そして従来よりも就労実態が厳格にチェックされることになります。
 考え方として2.3号認定は、就労等の理由で家庭での保育に欠ける時間帯の保育を国が保障するというものです。ですからこれまで開所日と開所時間について、すべて登園させることのできる権利があるのだという理解をされていた方もいらっしゃったかと思いますが、その理解は正しくないということです。
 たとえば、仕事がお休みにも関わらず、延長保育時間帯まで子どもを預けるといったことも黙認されてきましたが、それは税負担の考え方では認められませんということになります。
 また、これまでは所得が0円でも、就労証明書があれば2.3号として認定されてきた部分がありましたが、これからは就労実態を、就労証明書と所得状況の両方からチェックされるようになるということです。
 数年前から、全園児の登降園時間を記録するようにという依頼が行政からあり、いったい何の為に全園児の登降園時間が必要なのだろうかと、不審に思っておりましたが、なるほどそういうことなのと納得しています。ただ、確実に管理監視社会へ向かっているような気もして息苦しさと怖さも感じます。

 

 

 

園長のことば (2019.10月)

 早朝や夕方は涼しくなってきました。まだ、セミの鳴き声が聞こえてきますが、そのうち聞こえなくなるのでしょう。季節が夏から秋へ少しずつかわりつつあるのを感じることができます。日が暮れるのも早くなりました。
 今年の台風はあまり風も強い印象がなかったのですが、大型トランポリンが台風で壊れてしまいました。あの大きなトランポリンが浮き上がり、鉄棒の上に乗っかっていたのには驚きました。案外風は強かったのでしょう。仕方ありませんから、業者さんに頼んで処分してもらいました。近いうちに新しいトランポリンを設置したいと思っています。こちらの園庭に設置するか、今まで通り第二園庭に設置するかなやんでいます。
 それにしても、温暖化の影響なのでしょうか。9月中旬まで熱中症指数計がピーピーと鳴り通しで、日中外で過ごすことはできませんでした。熱中症指数が31を超えると水遊びもできません。午前中はどうにか水遊びができたのですが、午後は無理でした。それで学童さんは一度も水遊びをすることができませんでした。今年のような気温が毎年続くようであれば、夏場の保育を考え直さなければならないように感じています。
 自然災害についても、日本各地の被災状況がニュースで流れているのをみると、いままで大丈夫だったのだから、これからも大丈夫だろうといった考え方をしていてはいけないのだ、何が起きてもおかしくない時代に入ってきているのだと想定して対策を立てておかなくてはならないことを思わされます。1週間を超える停電というもの想定外でした。
 さて、インフルエンザ集団発生の報告が市役所メールで届いています。インフルエンザは寒い時期の感染症という印象があるのですが、9月に学級閉鎖だなんて驚きました。記憶をたどっても9月にインフルエンザ集団発生はなかったように思います。これじゃインフルエンザの予防接種をいつすればよいのかわからなくなってしまいますよね。感染症も季節に関係なく年中流行する時代に入ったということなのでしょう。もしかして感染症の原因になる病原菌やウィルスも日本人のように年中働く働き者になったのかしらなどと思ってしまいます。感染症対策もいままで通りではダメで見直しが必要になるのでしょう。
 いろいろな対策を立てる必要があり、それの見直しもあり、ずいぶんと忙しい時代になったなあと実感しています。戦争発生時の対策を立てておいてくださいという時代にはなってほしくないと心から願います。

 

 

 

 

園長のことば (2019.11月)

 8月の園長のことばに、今年は雨があまり降りませんと書いたのですが、10月中、東日本では、たいへんな災害をもたらした雨が降りました。台風といえば、西日本へ来るものと思っていたのですが、どうやら台風の進路も少し東へずれてきているように思います。そもそも10月に台風が来るなんてことは、私の子ども時代にはありませんでした。台風といえば7月の後半から8月中のことで、9月というのもめったになかったように思います。小学生の時は、台風が9月とか10月に来てくれれば、学校のお休みが増えるのにと思っていたくらいです。
 さて、運動会と遠足の両日とも、雨が降るか降らないかのギリギリの判断をしなければならず、少々気疲れしました。
 年長さんの遠足は、新幹線に乗ることが目的のひとつですから、雨でも決行しますが、年中・年少さんはそうではないので迷いました。遠足当日、こちらはパラパラと雨が降っていましたので、天気予報の雨雲の動きを見ながら、世羅町の世羅幼稚園さんに天気を確認したところ、こちらもどんよりした空模様ですといわれ、心配したのですが、せら夢公園は晴天だったということだったので、判断に間違いはなかったと一安心しました。さて、私の勝手な夢で、子どもたちを新幹線と船とベラビスタの水上飛行機にのせてやりたいと思っています。でも、なかなか実現できません。宝くじが当たればと思っているのですが、宝くじを買う買うといいながら、毎回買いそびれているのであたるはずもありませんね。            

 

 

 

 

園長のことば (2019.12月)

 昨日の中国新聞に、来年度から福山市内の小中学校の夏休みを8月1日からにするという記事がでておりました。その代わり現在一日6時間の授業時間を5時間に減らすということです。夏休みが10日間短くなると聞いてがっかりする小中学生も多いことでしょう。表情が目に浮かぶようです。あと学校行事についても見直しをするということです。
 私の勝手な意見ですが、小学校1年生から6年生まで同じ45分単位の授業というのもどうなのかしらと感じています。この際、1年生はもう少し短くするといった見直しはできないものなのでしょうか。
 それと気になっているのが、小学校に限らず、子どもが体を動かす、全身を使って遊ぶといった時間が充分に取られていないのではないかということです。保育所でいえば、都市部には園庭のないところもあると聞いています。一日中部屋の中で過ごし、運動は、散歩だけといったところもあるようです。幼少期の野外での遊び(運動)がその後の発達にどのような影響を与えるのかという長期的な調査データはないようなのではっきりしたことは分かりませんが、このままでいいのだろうかと思ってしまいます。
 何年か前、子どもの運動能力は、幼児期の子ども一人あたりの園庭の広さと相関関係があるのではないかという論文を目にしたことがあります。
私は、野外で全身を使って思いっきり遊ぶということが、運動能力や体力に限らず、知力や情緒面への発達にも影響を与えるのではないかと思っているのですが・・・。

 

 

 

 

園長のことば (2020.1月)

 令和最初のお正月まで数日です。令和になって平成のお正月とどこか違うのかといえば、変わらないのでしょうが、気持ちの上では、新しい時代に入ったような感じがいたします。令和が、他人の命を奪い、奪われることのない平和な時代であることを願っています。また、平成になって顕在化した、経済的格差に伴う子どもの貧困や子どもの虐待といった問題が少しでも解決に向かうことを願っています。

お正月といえばお年玉を楽しみにしていた記憶があります。お年玉が楽しみだというのは、いまでも変わらないのでしょうが、昔と違って最近はお正月の前にクリスマスプレゼントをもらう子も割りといるようです。耳を傾けると、「プレゼントに〇〇を頼んだんじゃけど、サンタさんきいてくれるかな?」「サンタさんって本当じゃろうか?」「サンタって本当はかあちゃんかもしれん」といった思わず微笑んでしまうような会話が聞こえてきます。

 つい先日、我が家の二男が、「うちは寺だからサンタが来ないので、小さい時から、友だちがクリスマスプレゼントの話をしていても、話の輪には入れなかった」とブツブツ言っておりました。高校二年生ですが、幼少期の記憶というのはいつまでも残るものなのでしょう。

 お正月が、子どもにとって家族団らんのたのしい記憶になることを願っています。親はスマホいじり、子どもはゲーム三昧というのは、手軽に楽しめるのかもしれませんが、子どもにとって家族団らんのたのしい時間を過ごしたという記憶にはならないでしょう。

 世の中の便利さ・手軽さを求める姿勢は、これからも止まることはないでしょう。もっともっと便利に、もっともっと手軽になるのでしょうが、便利な世の中が失わせたもの、手軽さが失わせたものに目を向けることがなければ、結局は、私たちが求めた便利さ・手軽さが回りまわって、私たちの首を絞めることになるだろうと感じています。

 

 

園長のことば (2020.2月)

 今冬はあまり寒くもないし、インフルエンザや感染性胃腸炎の子もぽつんぽつんとでるだけだと思っていたら、中国での新型肺炎のニュースが飛び込んできました。この一週間、新型コロナウィルスによる感染症拡大のニュースが気になって仕方ありません。 
 武漢への渡航歴のない日本人男性の感染が確認されたということで、国内での感染拡大も避けられないように感じています。たぶん広島県で感染者が確認されるのも時間の問題ということになるのでしょう。ワクチンもなく、有効な治療薬も見つかっていない状況で、死亡率3%というのは、大切なお子さんを預かる身としては、とても心配になる数字です。
 亡くなられた方のことを思うと、幸いなどといってはいけないのでしょうが、今日までに報告されている感染死亡者の年齢が40歳以上というのが、子どもは感染しにくいのか、それとも感染しても発症しないのかよくわかりませんが、すこし安心できるところです。
 ただ、職員は私を含めて40歳以上のものも多数おりますし、保護者で40歳以上の方もいらっしゃるでしょうし、たまたま今まで、子どもの感染死亡者の報告がなかっただけかもしれません。
 油断できない状況が当分の間つづくと思っています。とはいっても、園でできることは、園内の消毒、咳エチケットと手洗いとうがいの徹底でしかありません。人から人への感染が、接触感染によるものなのか、飛沫感染によるものなのか空気感染によるものなのかもはっきりしていない状況です。もし空気感染するのであれば、咳エチケットと手洗いとうがいでは園内感染を防ぐことはできません。
 もし、福山市内もしくは近隣自治体での新型肺炎感染者が認められた場合、登園基準の見直しをすることになるでしょう。また、休園等の措置が必要な場合も出てくるかもしれません。その際はご協力をお願いすることになります。どうぞご理解いただきますようお願い申し上げます。
 話題を変えます。1月23日、久しぶりにマリンバの佐野先生にお越しいただきました。マリンバの低音の響きはなんともいえず心地よいものでした。スピーカーで聞くマリンバの音とは違って、なんといえばよいのでしょうか、音の余韻とでもいうのでしょうか、それが妙に心地よいのです。いまの時代、音も音楽もあふれていますが、すべてスピーカーを通した再生音ばかりで、本物の楽器それ自体の音に触れる機会は案外ないものです。感動いたしました。

 

 

 

 

園長のことば (2020.3月) 

 数日前から、河津桜が花を咲かせ始めています。暖冬の影響なのでしょうか、例年よりも開花が早いようです。春の訪れを感じますが、テレビでは毎日、新型肺炎のニュースが流れています。一向に終息の気配はありません。北海道では小中学校の一斉休校、資生堂は本社勤務の8000人、電通は5000人をテレワークに切り替えるということ、福山市では15日に開催予定だったふくやまマラソンを中止するという記事がでていました。

 今朝のニュースでは、不特定多数が参加するイベントやスポーツ大会に対して自粛要請が国からでたということで、プロ野球オープン戦も無観客で実施するとか、コンサート等も軒並み中止もしくは延期ということになるようです。

 これまで、ここまでの感染症対策があっただろうかと記憶をたどっても、なかったように思います。新型コロナウィルス発生当初に言われた致死率3パーセントということは、統計を見る限りないようです。だとすると、このたびのテレワークや自粛要請といった対応は、ワクチンと有効な治療薬がないため、致死率は高くなくとも重症化率はそれなりにあり、重症化すると治癒までの日数がかかるということなのだろうかと、推測しています。

 北海道で、小中学校は一斉休校ということですが、保育所や幼稚園・認定こども園はどうされるのか気になるところです。それで迷惑になると思いつつも北海道庁へ問い合わせの電話を数度したのですが、話し中で繋がりませんでした。そのあと、福山市へ職員や園児に新型コロナの感染が認められた場合の対応について問い合わせたのですが、まだ検討中とのことでした。

 昨日と変わらぬ今日があり、今日と変わらぬ明日があるということを当たり前と思いがちですが、自然災害や事故、病気によって生活が一変するということは確実にあるわけです。新型コロナウィルスでも、軽症の子もいれば、重症化する子もいることでしょう。そういうことが起こらぬようにできる限りの対応をしていきたいと思っています。