園長のことば (令和3年(2021).4月)
数日前より、桜が満開です。新年度が始まることを感じさせられます。期待に胸膨らませてと言いたいところですが、昨年の3月以来、目に見えない新型コロナウイルスによって、日常生活はいろいろな面で制限を受けることになりました。園児の園生活も同様です。保護者のみなさまも我慢されていることが多いことであろうとお察しいたします。
以前であれば、微熱があろうと、咳があろうと少々のことで休むものではないというのが当たり前でした。鼻水でお休みしますという連絡があると、過保護だなあと感じておりました。それが、鼻水、微熱、すこしの咳症状でも気を遣わなければならない世の中になってしまいました。うかつに人前で咳でもしようものなら、周りからの視線を痛いほど感じることになります。でも、そのおかげでしょう。令和2年度は中国地方の幼小中高等学校でインフルエンザ学級閉鎖をしたところは一校もなかったそうです。
こまめな手洗い・うがいと3密(密閉・密集・密接)を避けることによって、感染症の多くを防げることがわかりましたが、それだけでなく同時に、子どもたちの感染症に対する免疫機能をいかに高めていくのか、育てていくのかを考えていくことが必要でしょう。
変異ウイルスによる第4波の襲来が言われています。暖かくなれば、だんだんと終息へ向かうのではと思っていましたが、どうやら見込み違いでした。
コロナ禍のなか、感染症対策と子どもの育ちにとって必要な経験・豊かな体験をいかに両立していくのかを今年度の課題といたします。行事も保育も中止・制限しなければならないことが昨年度は多かったですが、今年度は、中止制限することによって失われる子どもの発達にとって必要な経験や豊かな体験をいかに保障していくのかを丁寧に検討していきたいと思っております。
さて、保育の質向上のため、年6回行う園内研修会ですが、今年度も引き続き広島大学大学院教育研究科客員教授の望月悦子先生にご指導いただきます。先生も広島大学勤務最後の年になられるそうです。長い間、広島県の幼児教育の第一人者の先生にご指導いただけたのは、幸運だったと感謝しています。指導いただく内容は、教材研究と環境構成、子ども理解についてです。
園長のことば (令和3年(2021).5月)
ゴールデンウイークがはじまります。お出かけを計画されているお宅もあると思います。連休中に感染されませんようお気をつけてお過ごしください。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、市より何点かのお願いがきていますのでお知らせいたします。
1)PCR検査を受けることになった場合、園へお知らせください。
2)5月31日までは近くの薬局(この辺りでは内海町薬局)でPCR検査が受けられます。(詳細は福山市HPを見てください)
3)大阪府を始め感染が拡大している地域との往来は控えてください。
4)広島市との往来も慎重にお願いします。
暖かくなれば、徐々におちつくのではないかと期待していましたが、感染者数は増えています。感染力の強い変異型がでてきたということを心配しています。いままでは、無症状者からの感染の可能性は低いといわれていましたが、この変異型は無症状であっても他人へ感染する可能性があるのではないかといわれています。福山市内の小学校や保育所でも、ぽつぽつ臨時休校・休園が聞かれるようになりました。
市教育委員会からは、4月21日付で感染対策の取り組み強化についてのお願いがでています。保育施設課・保育指導課から感染対策の取り組み強化について何の連絡もありませんが、園児の登園についても、市教育委員会からのお願いに準じてご協力をお願いします。
そのお願いの要点のみお知らせいたします。
「発熱などの風邪症状(咳、鼻水、のどの痛み、頭痛、腹痛等)が見られる場合は、自宅で休養させることを徹底してください。また同居の家族に風邪症状がみられる場合も登校させないようにしてください。」
「免疫力を高めるため、十分な睡眠、適度な運動、バランスのとれた食事についてご配慮ください。」
園長のことば (令和3年(2021).6月)
緊急事態宣言が6月20日まで延長されることになりました。このところニュースになっているインド変異株は感染力が強いようで、緊急事態宣言が解除されても、感染対策のために、保育の制限を続けざるを得ないと考えています。
国民全体へワクチンの接種がすんだ頃に、ワクチンが効かない次の変異株がでてこないことを祈っています。
そのうちどこかの出版社から「正義のみかたワクチンマン」といった絵本がでるのではないかと思ったりもしています。
市が公表する感染状況をみていると、濃厚接触者の定義にはあてはまらない接触者の感染が目につきます。10歳未満・10代の公表感染者数と公表される園名・学校名の数が一致していないことも気になっています。園名・学校名がわかれば、市内のどの地域で感染が起こっているかわかるので、感染対策もしやすいのですが、どうやらすべてが公表されているわけではないと思うと、疑心暗鬼になります。
感染者に対する嫌がらせがあるらしいと聞きますので、そのため公表されないのかもしれません。感染者に対する嫌がらせというのは、感染対策を守ってないから感染したのだという意識があるからでしょう。たしかにそりゃ感染するよなといった素行に問題がある場合もあるでしょうが、感染対策をしていたけれども感染してしまったということの方が多いのだろうと思います。
ともに支え合って、コロナ禍を乗り越えていくことのできる社会であることを願っています。感染者に対する嫌がらせがあるとしたら、悲しいことです。
話題を変えます。少し前、小学生を除くほとんどの世代で体力の低下がみられるというニュースがながれていました。コロナ禍のなかで行動が制限されるということはそういう影響がでるということなのでしょう。今年度、園児の姿を見ていても制限の影響なのかなと思われることがあります。例えば、昨年は、プールでの水遊びができませんでした。うずまき滑り台からプールへドボンと入る、なんでもないような遊びでも、直接に子どもの発達との因果関係を説明できるというわけではありませんが、もしかしたら子どもの発達に意味があったのではないかなと感じられたりします。感染が怖いからとか、怪我の恐れがあるかということだけを優先すると、子どもの成長にとって必要な経験・体験を奪ってしまうことになるのでしょう。どう両立させていくか、なかなか難しい課題です。
今年度の園内研修は、汐見稔幸先生の「ゆるゆる学ぶ、保育の質と指針・要領」というテキストが読みやすく分かりやすいので、参考にして研修を進めていくことを講師の望月先生と打ち合わせをしたのですが、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿のなか、コロナ禍における「健康な心と体」という点を意識的に学んで整理していかなければいけないと思っています。
園長のことば (令和3年(2021).7月)
先日、マスクの着用は、成長過程の子どもの脳の発達に悪影響があるのではないかということと、WHOは、5歳以下のマスク着用を推奨していないのではないかということを心配されている意見をいただきました。
現在、3.4.5歳クラス、室内での活動の際にはマスクを着けています。屋外で遊ぶ時間、昼食時、昼寝の時間はマスクを外しています。昨年の6月から昼食時は、アクリル板の衝立で、仕切っています。そのアクリル板にたくさんの飛沫がつくので、想定以上に飛沫はたくさん飛んでいるのだということがわかり、室内での活動の際にはマスクを着用することにしています。
このところの湿度と温度で、私も午前中はまだしも午後はマスクをしていると息苦しくてたまりません。ですから、子どもにとってどうなのだろうかと疑問を感じていました。
それで、このたびWHOのHPを覗いてみました。2020年の8月21日付でWHOとunicef名で子どものマスク着用についての見解がでていました。また子どものマスク着用についてのQ&Aも掲載されていました。
5歳までの子どものマスクについて、他者への感染防止を目的としたマスク着用を推奨しているわけではないと書かれているように読めました。大人の手助けなしには、マスクを正しく着用することは難しいことと、長期間にわたるマスク着用による潜在的なリスクを防ぐためでもあるという趣旨が述べられています。
マスクが感染予防のために意味がないとは書かれていませんでしたが、マスク着用よりも、最低1m以上の対人距離の確保、こまめな手指の消毒、クラスの人数を減らすことを優先すべきであるとありました。5歳以下には一律にマスクは必要ないといったことではなく、それぞれの子どもの状況を配慮した上でということです。それにしてもWHOの言われるマスクより優先すべき感染対策は、かなり難易度の高い対策です。
文章全体から受ける印象は、「should not be required to wear masks」とか、「should not wear masks」というように回りくどい表現が多く、結局のところコロナウイルス感染症に関しては、はっきりと断言できる根拠がないから、このような表現になるのかしらという感想をもちました。日付も昨年の8月21日ですから、変異型のことはまだ問題になっていない頃です。変異株流行下での見解を知りたいところです。
WHOが5歳までのマスクについて見解を公表しているのに、厚労省が、そのことに触れていないのも、WHOの表現のあいまいさと、コロナウイルス感染症に関してはつぎつぎと変異株が発生し、3.4.5歳のマスク着用の是非について明確に述べることができる状況でないと判断しているからではないかと思われます。
子どものマスクで気にしなければならないのは、マスク着用によって、二酸化炭素濃度が上がり、脳が酸素不足の状況におかれるという知見が出ていることです。マスク着用が長期に渡ると、脳の発達に影響があるかもしれないということは推測できることですが、であれば酸素の薄い標高の高いところへ住む人たちはどうなのか等の比較研究も必要になるでしょう。ただ、脳の発達に影響がある可能性を無視できないと思います。それで園内でマスクをしないという選択ができるかというと、コロナ感染症については、数年後に後遺症がでてくる可能性があることも頭においておかなくてはいけませんから、福山市の感染状況と変異型の状況を見ながら、マスク着用については着用時間を減らすことを基本として、状況に応じて判断するのが現状では最善の方法だろうと思っています。
次に、ベネッセのHPには、マスクをしたままのコミュニケーションが子どもの発達に与える影響について述べられていました。これも昨年の6月頃には保育者の表情が隠れてしまうことについて、特に0.1.2歳児の発達への影響について危惧する声を聞いていましたから、0.1.2歳児クラスの保育教諭にはフェイスシールドを準備しました。ただ、フェイスシールドでは感染対策としては不十分だということで、結局フェイスシールドは使わずマスクを着用しています。これは職員のワクチン接種が済めば、担任の表情の見えるタイプのものに変えていくこともできると考えています。
さて、6月に初めてオンライン参観を実施しましたが、いかがでしたでしょうか。お子さんは豆粒位にしか写らず、どこに我が子がいるのかお判りにならなかったのではないかと思います。
オンライン参観のために、ズーム機能のついたビデオカメラを購入したのですが、そのビデオカメラからは音声がパソコンへ取り込めないことが判明し、大慌てしました。「本格オンライン配信セット」として売られていたのですが、ガンマイクはビデオカメラへ装着できないし、ビデオカメラからパソコンへは画像しか取り込めないので、詐欺にあったような気分でした。そのうえ、オンライン配信に使うノートパソコンにアップデートのお知らせが来たので、アップデートするとそれっきり起動しなくなり、夕方、パソコンショップへ駆け込んだのですが、修理に最低一週間はかかると言われ、オンライン配信に使うメールアドレスの設定はそのパソコンにしかしていないし、どうなることかと思いました。
オンライン会議用のズーム機能のついていないウェブカメラと、古いノートパソコンを引っ張り出して、どうにかオンライン参観ができましたが、そういう訳で、お子さんは豆粒位にしか写りませんでした。
収穫は、録画ができることがわかったことです。仕事が休めない保護者の方も、時間がある時にお子さんの様子を見て頂けるかなと思っています。まだやり方はわからないのですが。
園長のことば (令和3年(2021).8月)
今年は冷夏だろうかと思っていたら、梅雨が明け、暑くなってきました。日中35度を超える猛暑日が珍しくなくなってきたように思います。園舎は、快適なのですが、屋外の熱中症予防警報器はピピピと鳴りっぱなしです。気候が変わりつつあることを感じます。小中学校では体育の時間をどうされているのだろうかと思います。
先日、世羅町産のバナナを頂きました。世羅町でバナナが育つのですから、やはり温暖化しているのでしょう。童心園のバナナの木は枯れそうで枯れず、毎年、葉が伸びるだけで、実をつけたことはありませんが、もしかしたら、園庭でもバナナやマンゴーやパイナップルが収穫でき、瀬戸内海で熱帯魚が釣れるようになるのかもしれません。
この7月、静岡県で土石流災害が発生しました。ドイツでも大雨による大災害の様子が、中国でも大雨によるダムの決壊と地下鉄の車両のなかにまで水が流れ込んでいる映像がニュースで流れていました。失われた人命のことを思うと胸がいたみます。これも温暖化による豪雨が原因なのでしょう。自然災害には、これまで大丈夫だったから、これからも大丈夫は通用しません。もし豪雨と地震に同時に襲われたらと思うとゾッとします。
さて、東京オリンピックが始まりました。この猛暑のなか体を鍛えているとはいえ、熱中症で倒れる選手も出るのではなかろうかと心配しています。それにしても、コロナ感染リスクと熱中症リスクのなかで、わざわざリスクを冒してまで競い合うことにどれほどの意味があるのかしらと思ってしまいます。
たぶん、他者と競い合うということとギリシャ哲学・神話には、密接な関係があるのでしょう。仏教からは、他人と優劣を競い合い勝者を称えるという考え方は出てこないように思います。それどころか、他者との比較や優劣を競う先に真の幸福はないというのが仏教の立場です。それで、プラトン哲学の解説書とホメロスの「イリアス」を買って読もうとしたのですが、老眼には少々つらい字の大きさで目次に目を通しただけでまだ読んでいません。
こんなことが気になったのも、東京大学名誉教授汐見稔幸先生のオンライン保育研修会で、研修会の最後に、現在の世界が抱えている問題を解決する糸口になるのは、これまでの延長線上にある「知」ではなく、新しい枠組みの「知」だろう。その糸口は仏教の智慧にあるように思っていると言われたからです。私も、仏教が説いてきた「縁起」「利他」という考え方がとても大事になってくると思っていましたので、そうだよねとうなずきました。
コロナ感染症や温暖化による水害を見れば、自分の国だけよければ、自分の家族だけよければ、自分だけよければという考え方が限界にきていることを知らされます。自分は頑張ったから報われたのだ、でとまるのではなく、世界は繋がっているのだから、他者の幸せを考えなければ、自分の幸せも脅かされることになるのだということに幼少期から気付かせることが新しい「知」の糸口になってくると思っています。
園長のことば (令和3年(2021).9月)
先日の新聞に「コロナは空気感染が主たる経路」という記事が載っていました。記事を読まれて不安に感じられた方もいらっしゃるでしょう。これまで感染経路は、飛沫感染と接触感染が主だと言われていました。変異以前のコロナウイルスであれば、その通りなのでしょうが、インド型(デルタ株)はそれだけでは説明がつかない感染が多いように感じていましたので、やはり空気感染対策をしなければならないのだと納得しました。
ただ、行政からの感染対策の通知は、まだ飛沫感染と接触感染を前提としたものです。
感染対策しているはずの市役所でクラスターが発生したのも、換気が十分ではなかったからだと推測できます。空気感染であれば窓をすこし開けておく程度では感染防止効果はありません。童心園では数年前から室内の二酸化炭素濃度を常時測定しているので、感染対策として十分な換気量を確保するのはとても難しいことがよく分かります。
夏場、紫外線で感染者数は減少すると言われていましたが、そうならないのも、紫外線が入ってこない室内で、真夏の暑さで窓を十分に開けられず、換気が不十分だからということなのでしょう。
空気感染には徹底した換気をする以外に対策はないと思いますが、真夏や真冬は窓を開けっぱなしにできません。そうなると十分な換気ができません。どうすべきか考え、高性能空気清浄機を新たに設置することにしました。ウィルスは0.1㎛前後なので、0.03㎛の超微粒子を99%除去できる高性能なフィルタを搭載したブルーエアーという会社の新型空気清浄機を発注しました。
日本製の空気清浄機は粒径が0.3 µmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもつHEPAフィルタを使ってあるものが一般的です。残念ながらHEPAフィルタではウィルスは素通りしてしまいます。
注文した空気清浄機がどの程度空気感染に対して有効であるか未知数ですが、効果があることを願っています。
9月から小中学校が始まります。感染力の強いデルタ株への感染対策と授業を両立させなければいけないわけですから先生方もたいへんだろうと思います。小規模校ならともかく、大規模校になると午前と午後で入れ替えて密にならないようにするとか聞きます。それに伴う担任の負担増について福山市教育委員会がよく理解し支援する態勢があればよいのですが、そこまではできないような気がします。
デルタ株により、昨年の今頃よりも今年の方が状況は厳しいと考えています。8月以降、10歳未満の感染割合が急激に高くなっています。遠足や運動会もどうすべきなのか悩んでいるところです。9月に入って感染者が減ることを願っています。
園長のことば (令和3年(2021).10月)
9月後半から感染者が減り始め、ようやく緊急事態宣言が解除されます。通常開園に戻ります。小中学校も分散登校から通常登校へもどります。長い間、家庭保育へのご協力ありがとうございました。一時は、毎日のようにあそこの園が休園と耳に入ってきましたから、園内でクラスター感染を起こすことだけは避けなければいけないと緊張の日々でした。さいわいこれまで陽性者はありませんでした。これも保護者のみなさまが感染しないよう気を付けてくださったおかげだと感謝しています。
市より緊急事態宣言解除後についてまだ連絡はありませんが、すべての制限がなくなるわけではなく、①三密を避ける、②マスク着用、③風邪症状がある場合の登園停止等の感染防止対策はいままで通り継続することになると思います。
運動会や遠足について、どうしたものか悩んでいます。9月末までかなりのお子さんがお休みでしたから、10月上中旬に運動会というのは難しいと判断しました。どういう形がよいのか検討していますが、答えはまだでていません。
遠足先は、緊急事態宣言が解除されるため、どこも込み合うのではないかと心配しています。現在、動物園で団体申し込みのすくない日を選んでいますが、これから団体申し込みが増えるようでしたら、遠足先について他の候補地に変更することも検討しなければならないでしょう。
9月に入り、学校が再開されると、デルタ株は感染力が強いので小中学校でのクラスター感染が増えるのではないかと心配していましたが、9月中、福山市内の小中学校でクラスター感染が起こったとは聞きませんでした。このまま感染が収まってくれればよいと思いますが、ニュースを見ていると、冬期の第6波は避けられないとのことですから、また一か月ほどすると徐々に感染者数が増えるのかしらと思ったりしています。昨日、早ければ年内にもコロナウイルス感染症への飲み薬がでてくるというニュースを見ました。はやく飲み薬が出てくることを願っています。そういえば、昨年でしたか、はやくワクチンができればと思っていたことを思い出しました。ワクチンさえできれば解決すると思っていましたが、実際はそう簡単なことではありませんでした。
昨年からマスクが当たり前になっていますから、いまのままだと、あと数年もすると「昔はマスクをしなかったって本当?」と子どもたちに尋ねられそうです。マスクをしなくてよい日がくることを願っています。
園長のことば (令和3年(2021).11月)
福山市ではコロナ感染者が0人という日が多くなりました。この状況が続くことを願っています。ただ、二カ月周期で感染者数の増減が起こっていると報道されていますから、また12月には増えるのかもしれません。WHOはコロナ感染症の収束は遠いと指摘していますから、まだまだ安心してはいけないのでしょう。
10月中旬まで、いつまで暑い日が続くと思っていましたが、急に朝夕冷え込むようになってきました。薪の準備をしておかなくてはと薪割をはじめたものの、日頃の運動不足がたたって、2時間もするとくたくたになってしまい、翌日は筋肉痛でたいへんです。以前は楽しかった薪割が、負担に感じられるようになってしましました。年をとり、体力が落ちてきたということもあるのでしょう。
薪割のために木を動かすと、潜んでいたいろいろな虫がごそごそと出てきます。虫にしてみれば、安住の住処だと思っていたのに、何事が起ったのかとびっくり仰天しているかもしれません。心のなかで、「驚かしてごめん、はやく引っ越してね」と言いながら斧を振り下ろしていました。
考えてみれば、我々人間はこの地球を生きている人間のものとしています。人間以外の多くの命あるものを、利用できるか・できないか、有益か・有害かで選別しています。命のないものも、利用価値のある資源か利用価値のないゴミかに選別しています。私も虫に向かって「驚かしてごめん」と思いつつも、ムカデやハチは殺してしまいます。
これを人間中心主義というのでしょう。そしてながく続いてきた人間中心主義の考え方だけでは、どうやらこの世界が行き詰ってしまうことが見えてきているように思います。
アメリカ先住民に、「地球は親から与えられたものではない。祖先からの授かりものでもない。子ども達から借りているのだ。」という言葉があると先日教えられました。この世界で生きていくことになる子どもたちや生まれてくる子どもたちから借りているのだという考え方があることに感銘をうけました。
仏教では、生きとし生けるものの命の重さはみな等しいのだという見方をします。ですから仏教は人間中心主義ではなく生命中心主義でなくてはいけないのだと言われる方もおられます。
国連がSDGs(持続可能な開発目標)を17つ掲げているのも、いまのままではこの世界が立ち行かなくなることを見ているからでしょう。幼児教育・保育でも、SDGsに沿って子どもたちに何を伝えていくべきなのかよくよく考えていかなくてはいけない課題だと思っています。
園長のことば (令和3年(2021).12月)
コロナ対策のため制限していた園生活を少しずつコロナ以前へ戻していたところ、今度は南アフリカで新たにオミクロンと名付けられた変異株が発見され、欧州で拡大しているので、各国で再度規制強化が加速しそうだと新聞一面に載っています。「またか」と思われる方も多いのではないでしょうか。飲食や観光業で働いておられる方のため息が聞こえてくるようで胸が痛みます。日本へ入ってきてほしくはありませんが、鎖国しない限り日本へ入ってくるのも時間の問題なのでしょう。オミクロン株は、感染力も強いのではないかと警戒されているとのことですから、強毒化していないことを願うばかりです。
福山市では、一時0人が続いていましたが、このところぽつぽつと陽性者がでていいます。数日前に、東部の小学校でクラスターが発生しました。寒くなるとどうしても換気が十分にできなくなりますし、水も冷たいので手洗いも億劫になります。そのうえ12歳未満はワクチン接種をしませんから、保・幼・小ではクラスター感染リスクが高くなることを避けるのは難しいように思われます。
園内でのマスク生活もまだしばらくは続けなくてはいけないでしょう。3.4.5歳児さんのマスク姿に申し訳ないなあ、やれやれ一体いつまで続くのだろうかと思っていたら、今度は別の心配事が起こりました。
すでにニュース等でご承知の方もいらっしゃるでしょうが、昨日、千年小学校近くの民家の庭にイノシシが高さ50センチの塀を乗り越えて侵入し高齢の女性を襲ったという記事が新聞にでています。女性は、重傷です。イノシシは夜行性ですから、昼間あまりうろうろすることはないはずなのですが、こういう事件が日中に町内で起こったと聞けば、心配になります。日中、イノシシに襲われる可能性も考えておかなければならないとなると、園外への散歩も臆病になってしまいます。小学校の登下校も不審者や交通事故の心配だけでなくイノシシの心配もしなければならなくなります。いままでも、園児が植えた畑のイモを荒らされたということはありましたが、イノシシに襲われるかもしれないということは実感としてはありませんでした。
安全で安心できる園環境のなかで、精一杯自分を発揮し充実・満足した幸せな時間を過ごすことができることを大切に考えてきましたが、同時に世の中にはいろいろな危険があることを知り、危険を察知する力、危険を回避する力を育てることも保育計画のなかに入れておかなくてはならないと思いました。
園長のことば (令和4年(2022).1月)
元号が令和になり4年目になるのかと思いますと、月日が経つのは早いものだと思わされます。令和2、3年とコロナに振り回された2年間でした。令和4年中にはコロナ感染症もおさまってくれることを心から願います。
この数日、冷え込みが厳しい日が続いています。この辺りは雪になりませんでしたが、日本海側を中心に広い範囲で降り続き、西日本でも記録的な降雪となっています。寒波がやってくるということで、先週の金曜日、自動車のタイヤをスタッドレスに交換してもらいました。どうか、道路が凍結しませんように、大雪になりませんようにと願っておりましたが、自分が小さいころ、雪が積もるとうれしくて仕方なかったことを思い出し、大人にとっては積雪や凍結は通勤等の障害になりますから迷惑に思えても、子どもは雪が降ることをたのしみにしていたかもしれない、雪が降らなくてよかっただけでなく、保育の現場としては、雪が降らなくて残念だったねという気持ちが欠けていたと反省した次第です。
そういえば、もう10年以上前になりますが、スウェーデンのムッレ保育について調べていた時に、「悪い天気があるのではない、服装が悪いだけだ」という言葉に出会い、雨の日だからできない、雪だからできないではない、雨の日だからできる保育、雪の日だからできる保育があるのだと知らされたことを思い出しました。いつのまにか、それを忘れてしまっていたのです。1月2月に雪が積もることもあるかもしれませんから、雪を題材に、感じる・考える・表現するたのしさのある保育を考えておかなくてはいけませんね。
さて、この数日、体調を崩す子がでていることが気になっています。どうぞ体調に気をつけて家族団らんのお正月を過ごされ、正月明けには元気よく登園する姿を見ることができることを願っています。よいお年をお迎えください。今年一年、ありがとうございました。
園長のことば (令和4年(2022).2月)
オミクロン株の感染拡大が止まらないため、まん延防止法が2月20日まで延長されることになりました。デルタ株の時と違い、小学校・保育所・幼稚園での感染がずいぶんと目立つように感じられます。これではいくら飲食店の営業時間を制限したところで、小学校や保育所・幼稚園での感染防止策を強化しないかぎり、感染拡大をとめることはむずかしいように思います。聞くところによると、感染児童と同じクラスで過ごしていても濃厚接触者ではないそうですから、濃厚接触者の定義も少々ゆるいのではないかと思われますし、そもそもオミクロン株はデルタ株より感染力が強いと指摘されているのですから、デルタ株の時と同じ予防策をしているだけでは、いけないのではないかと思うのですが、いま以上の感染対策は実施困難と考えられているのか、個人の自覚に任せるしかないと思われているのかもしれません。とすると、まん延防止法が2月20日以降も再度延長される可能性があることを想定しておくべきなのでしょう。
さいわい、これまで本園では陽性者が出ていません。保護者のみなさまが感染予防に細心の注意を払ってくださっていることに感謝しております。ただ、注意していてもいつ、どこで感染してしまうかわからない状況にあることも認識しています。その際は、休園しなければなりません。ご不便をおかけすることになりますが、よろしくお願いします。
また、現在、家庭保育にご協力下さっている保護者のみなさまへも御礼申し上げます。
残念ながら、2月に予定していました保育参観(ミニお遊戯会)も再検討しなければなりません。おすもう大会も感染者数の動向をみながらどうすべきか検討中です。
話題を変えます。絵本を持ってきてくださる「子どもの友社」さんが、「youtubeに「食事でこんなに変わる、脳の発達や病気/京都女子大学 辻雅弘先生」という動画がアップロードされていますが、興味深い内容ですよ、驚かれると思います」と紹介してくださったので、30分弱の動画でしたが見ました。栄養学も日進月歩なのです、少々衝撃的な内容でした。小さく生んで大きく育てるのがよいと言われた時代もあったと思いますが、常識も変わるのですね。保育従事者としてつねにアンテナをはって学び続ける姿勢がないと失格だなあと思いました。