園長のことば (2016.4月)
春がやってまいりました。入園・進級おめでとうございます。平成28(2016)年度を迎えられることをうれしく思います。
昨年度は、アメリカの発達心理学者メアリー・エインスワースの言葉「心の安全基地」をテーマに掲げていました。今年度は、「言葉をそえる、心をかよわせる」をテーマとして日々の保育に取り組みたいと思っています。
めざす子どもの姿についても、「やり遂げる充実感を知る子ども」「表現することのたのしさを知る子ども」という2点を新たに加えています。
幼児教育・保育は、遊びを通して学ぶという特徴があるため、ただ遊んでいるだけといわれることも多いのですが、認定子ども園・幼稚園・保育所の教育保育は、それぞれ「認定こども園教育保育要領」「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」に基づいて行われており、決して好き勝手に過ごしているのではありません。2つの要領と指針は、細部に違う部分はありますが、根幹となる部分は同じです。同じというのは、認定こども園要領・幼稚園要領・保育指針ともに、2つの柱を立てて幼児の成長・発達を見ていくという点です。
第一の柱は、「心情→意欲→態度」という見方です。「心情」とは、「興味や関心が生まれるように導くこと」、「意欲」とは「試してみよう、挑戦してみようという気持ち」「態度」とは「できた、成功した、身についたという気持ち」です。
第二の柱は、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5つの視点から子どもの成長・発達を見ていこうとするもので、これを「五領域」といいます。
表にすると
|
心情 |
意欲 |
態度 |
健康 |
明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう |
自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする |
健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける |
人間関係 |
園生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう |
身近な人と親しみ、関わりを深め、愛情や信頼感を持つ |
社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける |
環境 |
身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心を持つ |
身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする |
身近な事物を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする |
言葉 |
自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう |
人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう |
日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、保育士等や友達と心を通わせる |
表現 |
いろいろな物の美しさなどに対するゆたかな感性を持つ |
感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ |
生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ |
このように、縦5行(五領域)横3列(心情・意欲・態度)の15のマトリックスで子どもの成長・発達を見ていこう、導いていこうというのです。
これを見られて、小学校以降の算数国語理科社会といった教科知識を中心とした教育とは、ずいぶんと違っていると感じられるでしょう。幼児期は、知識の習得よりもその前段階、小学校以降の学びの土台となる、「学びに向かう力(興味や好奇心、発見・疑問、試行錯誤)」を育むことに力点が置かれているからです。
幼児教育・保育の分野も先進諸国から毎年のように新しい知見がでてきています。そのなかで今後の幼児教育の柱となるのが、「非認知能力(Non-cognitive skills)」をいかに育むかということです。「情動的スキル」という表現をしてある場合もありますが、わかりやすくいうと「仲間と協調・協力しながら粘り強く最後まであきらめずやりぬく力」ということです。つまり、「粘り強い」とか「協調性」といった従来はその子が生まれつき持っている性格だと思われていたものが、生育環境によって左右されること。「非認知能力」が育つ時期が3歳から小学校低学年までだということ。そして「非認知能力」こそが、子どもが自分の力で人生を歩んでいく上でもっとも大切な力であるということが長年に渡る調査結果としてわかってきたということです。
この「非認知能力」を育むということは、現行の「要領・指針」ではあまり重要視されていません。それを補う意味もあり、今年度のめざすこどもの姿に「やりとげる充実感を知る子ども」を加えています。教育保育要領の次回の改訂では現在の「心情→意欲→態度」から「心情→意欲→(意志)→態度」というようにかわるのかなと思っています。
今年度のテーマ「言葉をそえる、心をかよわせる」ということについても簡略に説明します。
保育教諭は、安全に気を配り、子どもの身の回りのお世話をしながら基本的な生活習慣が身につくように促します。ねらいをもって一緒に遊び、子どもが遊びを通して何を学んでいるか推察し、日々の子どもの成長を見守っています。この時にとてもとても大切なのが、「子どもと心を通わせながら・・・・をする」ということです。「情緒の安定」なくして子どもの日々の充実した幸せな生活はあり得ません。子どもの情緒が安定するためには、子どもを受容する、子どもと心を通わせるということが大事です。子どもと心を通わせるためには、「子ども一人一人に対してつねに言葉をそえながら・・・する」ということをおろそかにしてはいけません。しかしながら、忙しかったりするとついつい「言葉を添えながら・・・」ということが疎かになります。また、することや出来映えに気をとられ、子どもの気持ちが置き去りにされていることもあります。そういうことがないように自戒の念を込めて「言葉をそえる、心を通わせる」をテーマとして掲げています。
私から保護者のみなさまへのお願いですが、園運営全般についてご意見、ご要望、ご提案等お聞かせていただければありがたいと思っております。これはいけませんというお叱りのご意見ばかりでなく、これは良かったですよという点もお聞かせいただければ職員一同たいへん励みになります。
どうぞ一年間よろしくお願い申し上げます。
園長のことば (2016.5月)
この5月、9日と18日に園内研修を行います。9日は月刊絵本を使った保育実践について、編集部より講師を迎えて勉強会をおこないます。以前より月刊誌の負担を保護者へお願いしているにもかかわらず、充分に保育月刊誌を活かしきれていないのではないかと感じていましたので、編集者へ相談を持ち掛けたところ、今年度2回、月刊絵本を使った保育実践について勉強会を持てることになりました。
18日は、4年目となりますが、引き続き望月先生をお迎えしての勉強会です。今年度は、2か月に一度計6回、望月先生の研修会を予定しています。
幼児教育・保育は、だれでもできるように思われますし、それなりの保育であれば、できるのだろうと思いますが、近年教育経済学という分野からでてくる調査データは、専門性の有無、質の良し悪しが子どもの育ちに影響してくることを示しています。昨年の9月にカナダ政府が公表した15年に渡る調査結果を報道する記事にも「・・・At the same time,it turns out that low-quality child care isn’t just worse than high-quality child care.It’s worse than no child care」とあります。low-quality保育を受けるくらいなら、保育されない方がましというのにも驚かれるでしょうが、この場合のlowとhighの中身について気になられるだろうと思います。わたくしも気になっています。
口は達者なので一見highに見えるが実態はlow、でもその自覚がなく自分はhigh-quality保育をしていると勘違いしている保育者になってしまうのを防ぐためには、つねに自分の保育実践を専門家に講評してもらう機会が必要です。外部参加型の研修会は、座学中心になり、自分の保育実践を評価されることはありません。自分の保育実践を評価してもらうためには、外部講師を招いた園内研修スタイルになります。
今年度より県の教育委員会も、幼児教育・保育の質の向上へむけて「幼児教育アドバイザー訪問事業」を実施します。実際の保育を見られて評価されることが、幼児教育・保育の質の向上には欠かせないと考えているからでしょう。もしかすると県教育委員会も現在の幼児教育・保育の質について危機感をもっていることの表れなのかもしれません。 上記以外にも研修会があり、保護者の皆様へご無理をお願いしなければならないこともあるかと思いますが、どうぞその際にはよろしくお願いいたします。
園長のことば(2016.6月)
5月25日、年長・年中組はリーデンローズへ観劇に行きました。以前は年少組も行っていたことがあるのですが、年少組にはおおきな人形が怖く感じられるらしく、楽しいはずの観劇が、恐怖の体験になってしまうようなので、現在年少組は行っていません。
今年の演目は「赤ずきん」と「三匹のこぶた」でした。両方とも知らぬ人はいないおはなしです。「三匹のこぶた」は、瀬田貞二訳の福音館版が定番として有名ですが、探してみると他にもたくさんの「三匹のこぶた」絵本が見つかります。それだけでなく、どうやらこのお話は大人の創作意欲も刺激するのか、これほどいろいろなバリエーションのある童話は他にはないのではないかと思います。そのなかで、私のお気に入りは「三匹のかわいいおおかみ」です。極悪ブタが三匹のかわいいおおかみの家をいろいろな手段をつかって破壊するというオオカミとブタの立場が反対になったお話です。わくわくしませんか?この絵本、絵がとてもたのしいのです、ブタの憎々しげなこと。この何年か、この絵本を読んでやる機会がありませんでした。今年は園児に読んでやりたいと思います。
園長のことば(2016.7月)
NHK教育?BS?で、「奇跡のレッスン」という番組が放送されています。保育・教育関係者必見の番組だと思います。
世界の一流指導者が子どもたちに1週間のレッスンを行うと、子どもたちにどのような変化が起きるのかを追ったスポーツドキュメンタリー番組です。
わたしが見たのは、弱小公立中学校柔道部へ著名なフランス人コーチがやってきて一週間子どもたちに柔道を教えるというものでした。
柔道は、指導者に怒鳴られながら厳しい練習に耐えて強くなるスポーツの典型のような印象をもっていましたが、フランス人コーチの指導はまったく違ったものでした。
一週間後、柔道強豪私立中学との練習試合がありました。男子は2勝3敗、女子は2勝9敗でした。勝ち数では負けていますが、善戦しての負けですから、以前は勝負にならなかったことを思えば格段の進歩です。その後の東京都大会では、何人もの部員が優勝、準優勝をするという快挙を成し遂げました。
たった一週間の指導でそんなに変化があるのかしらと疑いの目で番組を見ていたのですが、わずか一週間の指導であっても優れた指導者に出会うと、子どもは変わるのだということを見せられました。フランス人コーチは何が違ったのか? 技術の教え方も違ったのでしょうが、子どもたちのやる気・意欲を引き出すことに長けているように見えました。
幼児教育では、「心情」と「意欲」の育ちをみていくことを大事にしなければならないと言われますが、これは幼児教育に限った事ではないということをフランス人コーチは示してくれたように思います。たぶん、彼らは柔道が強くなっただけでなく、学力面でも向上が見られたに違いありません。
「先生によって子どもって変わるんだね、じゃ童心園の先生の力量はどうなのかしら」という疑問を持たれることでしょう。本園の保育教諭の力量についてですが、最高だと言ってしまうとさすがに言い過ぎかなと思いますが、非常に良いという印象を持っています。先生たちの力量は、良き指導者に恵まれ地道に園内研修会を重ねてきたおかげで、以前とは比較にならないほど伸びましたし、まだまだ伸びるという手ごたえがあります。
教えられることに素直に耳を傾けられる先生は、絶対に伸びますと、4年前に望月先生から言われ、能力の差があるだろうとその当時は思っていましたが、素直に耳を傾けることのできる人は伸びるというのは本当でした。
園長のことば(2016.8月)
いつの間にかセミの音が聞こえてくるようになりました。暑い日が続いています。どうしたことか、今年は園庭のブドウもブルーベリーもザクロもさっぱり実をつけません。鳥に食べられてしまったのかなと思ったりしているのですが、原因はわかりません。
西園庭のイチジクは、木も大きくなり実もたくさんつけています。ハシゴを使わないとてっぺんには手が届かなくなりました。雑草は今年も元気です。先日雑草を刈っていましたら、草むらからおおきなカエルが跳び出してきました。緑のかわいらしいちいさなカエルでなく、茶色にオレンジがまじっていぼいぼがあるように見える不気味なカエルでした。このカエル呑気なのか?耳が遠いのか?神経が太いのか?草刈機の刃が近づいてもなかなか逃げようとしません。草刈機の刃があたるのではないかと気を使いながら草を刈るのですが、カエルは草刈機の刃を気にしているようにもみえません。こちらがハラハラしてしまいとうとう草刈機を止めて、箒で追い払いました。カエルは西の柵の向こうへぴょんと飛び跳ねていきました。
草刈りの後、学童さんへ西園庭にカエルがいたよと話しをすると、虫かごをさげてカエルを捕まえに走っていきました。私もついていきました。子どもたちに囲まれて、じっとしているカエルがいました。でも誰も捕まえようとしません。なんとなく腰が引けているようにもみえました。しばらくして2年生の男の子が「このカエル、きっと毒ガエルだよ、触ったら毒をぴゅっとだすに違いない、触らない方がいいよ」といいました。1年生も自分の思い描いていたかわいいカエルと違ったのか、だれも触ろうとしませんでした。
「蛇に睨まれた蛙」ということわざがあります。それを思うと、もしかしたらあのカエルは呑気なのではなくて草刈機が怖くて身動きできなかったのかもしれません。子どもたちに囲まれてじっとしていたのも怖くてフリーズしていたのかもしれませんね。
そういえば、日本最古の漫画と言われている「鳥獣人物戯画」を絵本に仕立ててあるものを購入していたことを思い出しました。このなかにもカエルが出てきます。鳥獣人物戯画自体たのしい絵なので、この絵本を使ったたのしい保育ができそうな気がするのですが、でもこの絵本を先生たちに渡して、たのしい保育のヒントが詰まっているねというと、きっとカエルのようにフリーズしてしまうだろうなって思います。
園長のことば(2016.9月)
よくもこれだけ暑い日が続くものだと思うくらい暑い日が続いています。でも暑いから、水遊びが一層楽しく感じられるのでしょう。お盆明けからプールをトンネル滑り台や螺旋滑り台の下において楽しんでいます。子どもたちはウォータースライダーと呼んでいます。
3歳、4歳、5歳の滑り方を見比べると、発達の過程が見えてきます。3歳さんは自分が滑ることを楽しんでいるだけですが、4.5歳さんはお友達の滑り方をよく観察していてそれを真似する姿や水の流し方や滑り方に創意工夫する姿が見えてきます。
滑り方にもそれぞれの子どもの性格があらわれるものだと感心しています。「僕の人生にブレーキはないぜ!」とばかりに豪快に水しぶきを上げながら滑ってザッブーンと着水する子がいると思えば、「僕のモットーは安全第一」とばかりに足や腕でブレーキを掛けながら滑る子がいたり、少し怖いのか体を強張らせながら滑る子がいたり、滑る度にうつ伏せになってみたり仰向けになってみたりとすべり方を変えてみる子もいたりで、その様子を眺めていると飽きることがありません。
滑り方に男女差はあるかなと思っていたのですが、ほとんど差を感じることはありませんでした。
園長のことば(2016.11月)
園庭の金木犀がちいさな花を咲かせています。近づくと良い香りがしてきます。その昔は、金木犀というとトイレの匂い?臭いだという園児が毎年いたものですが、ここ何年か園児がトイレの匂いだというのを聞かなくなりました。芳香より消臭・除菌の時代になって家庭でも金木犀の芳香剤は使われなくなっているのでしょう。子どもの発する言葉も、時代の影響を受けているのですね。
これから少しずつ寒くなってきます。それとともに山の木々が色づきはじめることでしょう。聞こえてくる音も澄んだ音色に変わってきます。季節によってにおいも違ってきます。一日として昨日と同じという日はありません。時々刻々変化している自然を園児とともに感じていきたいと思います。
さて、先日のことですが、園児のお祖父さんが、バナナの木を持って来てくださいました。バナナの実になる前の姿を初めてみました。知っているようで知らないことって多いですね。
どこへ植えたらよいか園児と一緒に考えているのですが、バナナは寒いのが嫌いだから、毎日擦ってあげたらいいとか、おもしろい意見がでています。
園長のことば(2016.12月)
先日より薪ストーブを使い始めました。バケツに集めた灰を見て、「この白い粉みたいなの何?」と尋ねてくる子がいます。世の中は機能的になりゴミは分別しておくと収集車が回収に来てくれるのでゴミを自宅で燃やして処分することはなくなりました。町中のお宅でゴミを燃やそうものなら、消防車がサイレンをならしながらやってきて、迷惑行為をしてはいけませんと厳しく叱られることでしょう。日常生活のなかで焚火をして暖をとるといった機会もまずありません。それは、燃えて灰になるといったことを経験的に知る機会がなくなるということです。
そのむかし、私が年長の頃、仏壇のろうそくは吹くと火が消えてしまうのに、竈(かまど)は吹くと火が大きくなる。おかしいなあ?へんだなあ?と疑問をもったことを思い出しました。いま竈のあるお宅はないでしょう。オール電化のお宅は、火を見ること自体なくなっています。
建築史家の藤森照信東大名誉教授が、著作のなかで家の起源は人を雨風から守るためではなく、火を守るためだったのではないかと書かれていました。人類の歴史のなかで、人の生活は火とともにありました。人間とサルの違いは火を使うことだとその昔習った記憶がありますが、それが火のない生活をする時代になっています。
薪ストーブの炎を眺めている園児は、とてもあたたかくやわらかな表情をしているように感じられます。体を温めるだけでなく、心も温めているのでしょう。子どもたちの姿を見ていると火のある生活、炎のある生活というものが子どもの心に与える影響は無視できないものがあるのではないかと思ったりしています。
火の文化史、火の精神史といったものを研究したものがあるに違いないので探して読んでみたいですね。
山へのぼり木を切る時間がなく、薪の調達をどうしたらよいかなと思っていたのですが、いろいろな方から薪をいただきました。おかげさまで今シーズンも暖かく過ごすことができます。
園長のことば(2017.1月)
年末年始の恒例行事といえばお餅つき会がありますが、最近ではノロウィルスによる食中毒を恐れて中止されることが多いようです。主催側がいくら衛生管理に気を付けていても、参加者のなかにひとりでも感染者がおられるとノロウィルスは感染力が強いですから、感染拡大を防ぐのは非常に困難になります。それで中止した方が無難だという判断になるのでしょうが、そのうち日本の伝統文化であるお餅つきが見られなくなる日がくるのかもしれません。
ネット検索をしてみますと、幼稚園・保育所の餅つき大会で食中毒という記事が驚くほど出てきます。その原因の多くは、おなかの調子が悪くても、今日はお餅つき大会だからと頑張って登園したか、不顕性感染の園児?職員?がいたからだと思われます。
本園でも毎月園児のクッキングをしていますが、衛生管理にはとても神経を遣っています。クッキングの翌々日まで園児の体調が気になって仕方ありません。私自身、自分がノロウィルス感染源になってはいけないので、この10年以上、生ガキ・酢ガキの類は一度も口にしたことはないのですが、神経質になりすぎかもしれないと思うこともあります。
さて、もういくつ寝ると・・お正月です。保護者のみなさま、お子さんとのお正月を大切に・丁寧に過ごされることを願っております。大切・丁寧にという表現が適切かどうかわかりませんが、子どものこころが健全に育つには、子どもと丁寧に向き合う時間が必要です。勝手なお願いなのですが、先日お配りした「ブッダがせんせい」を毎日1ページずつでも親子一緒に読んでいただけるとたいへんうれしく思います。
園長のことば(2017.2月)
この1月26日に予定していた「大相撲童心園場所」は、2月3日へ延期しました。例年になくインフルエンザが流行し、やむをえなくの決断です。同日の園内研修も延期いたしました。全職員インフルエンザの予防接種は済ませているのですが、今年はどうしたことか職員も順番に罹っています。予防接種のおかげで症状はひどくなくても、感染源になってはいけませんので定められた日数はお休みしなければなりません。11.12月にインフルエンザが広がらなかったので、気持ちの面で少々油断があり室内の湿度管理が甘くなったことが影響したのかもしれません。
何日も前から、お相撲さんになり切って、のぼりや化粧まわしを作ったり、相撲の技を調べたり、横綱の土俵入りを研究してみたりといろいろ準備してきた年長組さんは、待ちに待った童心園場所の延期に少々気落ちしたようにも見えましたが、すぐに気を取り直したようで「どすこい、どすこい」と寒げいこに励んでいました。お相撲さんが「どすこい」って言っているところをテレビで見たことないのですが、なぜか「どすこい」なんですね。それで年長さんになぜ「どすこい」なの?と質問すると「だって、こんにちはじゃ、つよそうじゃないもん」と教えてくれました。私が「ふんどしがずれてるよ」というと「ちがうよ これはふんどしじゃない、まわしっていうんだよ」と注意をしてくれ、園長先生はお相撲のことを知らないんだなあという表情で「あのね園長先生 ○○ちゃんのもっているのは、うちわじゃないんだよ、うちわみたいだけど。あれはね、ぐんばいっていうの」とか、「いまの決まり手はね、・・・あれは上手投げだ」とか話し合いをしているのでおかしいやら楽しいやらで、2月3日まで彼らのお相撲の世界は広がっていくのではないかと思えました。お昼の給食の時間、「ごっつあんです」というのかなと思ってみていたのですが、それは「おおくのいのちとみなさまのおかげによりこのごちそうをめぐまれました、ありがたくいただきます」でした。
さて、1月11日に園児と一緒に裏山へ登りました。裏山での遊びには、発見、興味関心、疑問、想像と創造、創意工夫、挑戦、協力、夢中になって遊びこむといった幼児教育にとって大切な全てがつまっているというと言い過ぎかもしれませんが、この時の園児の姿も素晴らしかったです。昨年11月東京大学から園庭に関する調査依頼があり、園庭について勉強になったのですが、園庭の環境整備をがんばっても、自然の山の豊かさ、そのなかで過ごす子どもたちが体験する内容には勝てないですね。
ただ、マダニの問題があります。マダニは事前の山掃除と、虫よけスプレーと、山からおりたあとのチェックでほぼ防げるだろうと考えていますが、靴と服がどろんこなりますから、保護者のみなさまの負担が増えるという問題もあります。でも山遊びには宝ものがいっぱいあるんですよね。
園長のことば(2017.3月)
2月上旬に花を咲かせるはずなのですが、門の側に植えている河津桜はまだ咲きません。昨年は、普通の桜よりちょっぴり開花が早かっただけでした。旧園舎時代に、苗木を買ってきて鉢植えしていたのを園舎改築後、現在の場所に植え替えしたものです。鉢植えの頃は2月中旬に花を咲かせていたように記憶しています。植え直してから順調に成長しているのですが、開花時期はだんだん遅くなっているような気がします。この辺りがのんびりしたところなので、河津桜ものんびりするのでしょうか。もしかしたら卒園式に合わせて花を咲かせてくれているのかと思ったりします。
3月のお別れ遠足について検討している時に、以前のお別れ遠足での出来事を思い出しました。行先はみろくの里で、その時、羊飼いのショーがあったのですが、それをじっと見ていた3歳児クラスの男の子が感心した様子で、担任にむかって「羊の方が、黄組より、よっぽど聞き分けがいいね」と話しかけ、担任がなんとも言えない表情で「あら、まあ自分たちのことよく分かってるのね」とぽそっと呟いていました。3歳の時には、担任が中腰で一日中子どもを追いかけている印象がありましたが、活発で勢いがあり、自分たちで遊びを創り出すことのできるクラスでした。つい数年まえのことのように思えるのですが、彼らも大学生ですから、あれから十数年経ったのだと思うと月日の経つのは早いものだと実感いたします。
さて、年長組にとっては最後の月です。一年前の彼らの姿を思うと、自分に対する自信と積極性という部分がとても成長しているように感じられます。小学校生活への期待とドキドキする緊張のようなものはあるのでしょうが、小学校生活への不安を感じている様子は見られません。安心して送り出せるかなと思っています。