園長のことば (2018.4月)
「子どもが困った時に、親(保育者)の顔を見ると安心できる」ということ
今年度は、「子どもが困った時に、親(保育者)の顔を見ると安心できる」を掲げています。平成27年度も「子どもの心の安心基地」をテーマに掲げましたが、親子関係のあり方、保育者と園児との関係に再度焦点をあて、これまでの保育実践を見直し子どもの育ちにとってより良い保育を、そしてなによりも園に関わるだれもが幸せを感じることができる園づくりをしていきたいと考えています。
「子どもが困った時に、親(保育者)の顔を見ると安心できる」というテーマは、「子どもの感情コントロールと心理臨床」東京学芸大学教育心理学講座教授 大河原美以著 日本評論社 にでてくる一節を参考としたものです。
保育関係者、小中学校関係者の多くの方が、同様の疑問を持たれているのではないかと思うのですが、いわゆる「よい子」という形で幼少期大事に育てられてきたはずの子どもたちに、ひきこもり(不登校)や他者への攻撃性、感情コントロールが困難といった症状があらわれる場合があるというのをどのように理解すればよいのだろうかと疑問に思っていました。また最近の風潮として、すこしでも気になるところがあればすぐに原因を発達障害に求めようとする傾向にも違和感を覚えておりました。
虐待や家族の機能不全といった課題があるから、子どもにそのような言動が見られるというのであれば分かりやすいのですが、そうでなく子どものことをとても大切に思っている家庭の子どもにもそういった言動がみられることがあるというのをどのように考えるべきなのでしょうか。親からの一方通行で子どもの心が満たされていない、受容の姿勢が足りないからだとか、逆に過剰干渉が原因だというように指摘することは簡単ですが、より具体的に説明できなければ、そのような指摘を受けた保護者(保育者)はどうすればよいのかと戸惑うばかりでしょう。
この本は、それらの原因を子どもの「感情の発達不全」の視点から丁寧に解説しています。そして、子どもの「感情の発達不全」が、子どもを深く愛している親との関係のなかでなぜ起こるのか、そのメカニズムをわかりやすく説明しています。
新聞やテレビで、小中学校でのいじめをいじめとして学校側が認識できていなかったという報道を見ることがありますが、いじめとして学校側が認識できない理由についても、子どもの「感情の発達不全」の視点から、説明されています。
乳幼児期の、アタッチメントと愛着形成がどれほど大切か、乳幼児期の負の感情にどのように向かい合うべきなのか、乳幼児期の負の感情をそのまま大人から受け入れられることがどれほど大切なことが良く理解できます。
参考までに、この本の内容を何点か紹介しますと、①、「我慢する力」というのは、ふつう「我慢しなさい」と大人に言われて、子どもが我慢することによって「我慢する力」が身につくかのように思われているが、実は、大人が子どもの感情を強い力で制御しようとすればするほど、子どもの脳の感情制御機能は育たなくなってしまう。「他人に制御されている(=他律)」子どもは、「自分で制御する(=自律)」力が育たない。
②、多くの一般の人は、子どもが抱えている不安を「不安じゃないよ」と否定してあげることが、「不安じゃなくなる」ために役立つと思い込んでいる。「怖くない」「痛くない」「いやじゃない」「たいしたことじゃない」「寂しくない」という意味での「大丈夫だよ!」。しかし、これは大きな間違いである。
③、泣くという行為は、不快感情がおさまっていくために必要な行為であって、泣き止ませることが重要なのではなく、安全に泣かせてやることが重要なのである。泣き止むとすっきりするという体験をだれもがもっているはずである。「泣く」という行為そのものが、生理的な安定を導くのである。
④、子どもを育てている限り、心配の種は尽きない。問題は、子育てにおいて心配や不安、葛藤のないすっきりとした生活をキープしたいと大人が願い、それを実現するために子どもをコントロールしようとするところから生じる。
⑤、乳幼児期から、安定した親子関係のなかで、身体が欲するままに泣き、抱っこされ、安心するという経験を重ねてきた子どもは、感情コントロールの脳機能が自然にバランスよく育つ。
この著者は、子育て中の保護者向けに「子どもの「いや」に困った時に読む本」という本を出されています。私は読んでいないのですが園に一冊ありますので、読んでみたいと思われる方は、お申し出ください。
年6回行う園内研修会ですが、今年度も引き続き広島大学大学院教育学部客員教授の望月悦子先生にご指導いただきます。指導いただく内容は、教材研究と環境構成、子ども理解についてです。
園長のことば (2018.5月)
このところ暑かったり、寒かったりと妙な天候が続いています。天候だけでなく、車の屋根が黄色く見えることもあるくらいですから、きっと花粉も多いのでしょう。花粉症の人にとってはつらいと思います。そのうえ、黄砂とPM2.5もはるばる中国から偏西風にのってやってきます。
昔は、雨の日は外で遊ぶことを控えていましたが、それ以外の日は、たいがい屋外で遊んでいました。今では、雨だけでなく、紫外線量やPM2.5まで毎日予報をチェックして屋外で遊ぶことのできる時間の把握をしておかなくてはなりません。今年は暑くなりそうなので、もうすぐ光化学スモッグ注意報もでることでしょう。さいわい沼隈は、光化学スモッグ注意報の対象区域ではありませんが、自然のなかで、遊びたいだけ自由に遊ぶこともだんだんと難しくなってきているように思います。
その一方、県教委は、昨年「森のようちえん」認証制度をつくられましたから、幼児期に自然のなかでしっかり遊ぶことの大切さを認識しておられるのだろうと思います。
私も、もっと裏山へ登ってあそぶということに取り組みたいと思っていますが、マダニの問題と、私が書類処理に一日中追われているという二つの課題があり、なかなか前にすすめません。
話は変わりますが、先日、災害備蓄食料のなかで消費期限が近づいてきたものがあり、開封して食べてみました。水を入れるだけで五目御飯ができるというものでしたが、案外おいしいので驚きました。
地下倉庫へ備蓄し始めたのが2013年ですから、あれから5年経ったのだと思うと、タイムカプセルのようにも思われ、これもまた感慨深く思えます。備蓄食料を使うことがなかったということに感謝しなければならないと思うとともに、これから毎年のように、備蓄食料の消費期限がやってきますから、備蓄食料の入れ替えを子どもの学びの機会にできはしないだろうかと考えています。
園長のことば (2018.6月)
今年は、梅雨入りも早いのではないかと感じます。先日の園内研修会は、寒くもなく暑くもなく、ちょうどよい具合に風も吹き、風に揺れる緑も輝いているように見えました。耳を澄ませていると「ホーホケキョ」と鳴くウグイスの声も聞こえてきます。青空もきれいで気持ちのよい一日でした。
日頃は、書類に追われて各クラスの様子をちらりと覗く程度なのですが、この日はゆったりと各クラスひとりひとりの様子を見ることができました。その姿は何と言ったらよいのでしょうか。一心不乱に取り組んでいる時の表情、誇らしげな表情、やったぞという達成感に満ちた表情、満足しきった笑顔。子どもたちの様子を眺めているとなんともいえない幸福感に満たされます。「いやーいいなあ」と思っていたその時、ご指導いただいている望月先生もおなじ思いを持たれたのでしょう。ぽろりと「あーほんとうにいいですね。」とおっしゃいました。
やらされている・遊ばされている姿ではなく、自ら夢中になって遊んでいる子どもの姿を見ていると、保育者が子どもに教えること・上手にさせること・トラブルを起こさせないことを保育者の役割と勘違いしてはいけないと言われることの理由がよく分かります。子どもが夢中になって遊んでいる・取り組んでいることを通して何に興味関心をもっているのか、何を経験しているのか、その経験から何を学んでいるのかを見極める目があり、そしてそこから明日の保育を考え準備していくことができる力が必要です。ここが〇〇を教えます・〇〇をします・〇〇できるようになりますといったお稽古教室と違うところです。
さて、この4月から昨年告示された「認定こども園教育保育要領」に基づいて教育保育も実践することになりました。以前の「認定こども園教育保育要領」と比較すると、保育を通して育みたい力をより具体的に「3つの資質・能力」、「10の姿」として整理されています。ある意味、現場にとっては分かりやすくなったように思えます。
園長のことば (2018.8月)
7月6.7日、たいへんな豪雨に見舞われました。童心園に被害はありませんでしたが、広島県全体で多くの方が亡くなられました。福山市でも二人の方が亡くなられました。復旧にはまだまだ日数がかかるようで被災状況を報道するニュースを見る度に、心が痛みます。
7日の土曜日、山南川はどうにか持ちこたえ決壊しませんでしたが、川の水位が上がったため雨水を排水できず、産業道路から青葉出版まで冠水し、登園路が通行止めになりました。それでやむをえなく休園いたしました。この度の豪雨が、保育時間中のことで、帰宅時間に道が冠水して通行止めになっていたらとか、もし山南川が決壊していたらと思うと、避難計画・マニュアルに従ってよいのかどうか迷うことに気付きました。現行の避難計画・マニュアルは、園単独で作成したものですが、それでは万全とは言えません。行政とのこまやかな連携が必要です。
数年後、現在の千年中学校の場所へ、5つの小学校と1つの中学校が統合されます。海抜が低いので、南海トラフが起こった時は、水没してしまい避難場所にならないだろうと思っていましたが、この度の大雨を経験して山南川の決壊による水没も十分あり得ることなのだと認識いたしました。沼隈支所も千年中学校よりは幾分高いところにありますが、地下部分が水没した場合、電気関係がダウンしてしまい支所自体が使えなくなるのではないかと思ったりします。そういうことを考えていますと、市の指定する避難場所が避難場所の役割を果たすことができるのだろうかという疑念もわいてきます。
また、この度水道が長期間に渡って使えなくなるということも想定しておかなくてはいけないのだということも改めて思いました。。雨が降らなくて節水というのは過去にありましたから理解していましたが、まさか豪雨が原因になって断水が長期にわたることもあり得るのだというのは意外でした。
自然災害は、想定外のことが起こる可能性があること、想定外のことが起こった場合、うろたえずに柔軟な対応ができるようにしておかなくてはならないとも思いましたが、大災害の場合、冷静に最善の判断を下せるかどうか少々自信がありません。
この週末、台風12号が来るようなので、さらに被害がでるのではないかと心配しています。被害がなければよいのですが。
園長のことば (2018.9月)
豪雨のあとは猛暑です。熱中症対策として園舎内外に温度、湿度、気圧、騒音、CO2濃度を24時間記録する測定機器を設置しました。体感温度、露点も表示されます。オプションで雨量計と風速計もあるのですが、それは設置しませんでした。
CO2濃度は、これまで年に一度測定してもらうだけで、格別気にしていませんでしたが、このたび室内のCO2濃度がどのように上昇するのかよく分かりましたので、換気のタイミングもより適切に行えるようになります。CO2濃度がこんなに簡単に上昇するとは知りませんでした。換気扇だよりの換気では十分でないことがよくわかりました。
この機器が面白いのは、外気温を公開する機能がついていることです。そのため世界中の外気温をリアルタイムで知ることができます。それを見てみると、今年の猛暑は世界的なものではなくて日本が猛暑なのだということがわかります。
福山市内にこの機器を設置しているところが4カ所あるのですが、街中の方が1度から3度ほど外気温が高いのは意外でした。街中の方が、熱がこもりやすいのでしょうか。沼隈は福山市街と比較すると、夏は涼しくて冬は暖かい、案外良いところなのだと思いました。とは言っても今年のような猛暑はもう勘弁してほしいと思います。
園長のことば (2018.10月)
9月の園内研修会は、台風の為中止かと思ったのですが、さいわいこの辺りは風・雨ともにあまりひどくなく研修会を行うことができました。7月の研修会は豪雨のため中止しましたので4か月ぶりの園内研修会でした。年6回計画している園内研修には、①保育の質の向上と、②日常の保育を定期点検してもらうという目的があります。
なぜ定期点検が必要なのか。それは保育者には、よほど気を付けていないと落ちてしまう落とし穴があるからです。数年経験を積んだだけで自分は保育のことはよく分かっている。自分はできる保育者なのだから、今更保育を学ぶことなど必要ないと勘違いしてしまうことと、経験年数が増えるにつれて知らず知らずのうちに横着・手抜き(これを口で保育すると言います。)になってしまうということです。そういう保育者が園内で保育に関する発言権をもつとどうなるでしょうか。またそういう保育者が園内で多数派になるとどうなるでしょうか。考えただけでもゾッとします。
園内研修では、午前中、各クラスの保育と指導案を見てもらいます。午後、午前中の各クラスの保育を講評してもらいます。保育者とっては緊張する時間です。あとは、書き溜めた保育エピソードへコメントしてもらうという、この2つを地道に繰り返してきたわけです。継続は力なりといいますが、2か月に一度の園内研修会を地道に続けることにより保育者の意識が向上し、子ども理解が深まり、保育が変わり、そして子どもの日々の様子が変わるということを見てきました。
研修スタイルにもいろいろあります。主流なのは研修会場へ出かけていって一斉に大勢で教わるという研修会です。このスタイルでは、自分の保育を評価・講評されるということがありません。外へ学びに行く機会は当然確保しなければなりませんが、同時に自分達の保育を実績のある良き指導者に講評してもらうということもとても大切なことだということを実感しています。
以前(平成18年頃まで?)は、広島県保育連盟の研修の一環として公開保育が行われていました。公開保育とは県内のあちこちの保育所の先生方に保育を公開し、講評してもらうというものです。保育所が延長保育や乳児保育等で忙しくなり、公開保育などしている余裕はないということで廃止されました。たしか、最後の公開保育は竹原市の保育所でした。その当時、私も公開保育の意図をよく理解できてなく、公開保育がなくなって楽になるという気持ちしかありませんでした。
数年前より、保育の質の向上が重要課題として取り上げられ、キャリアアップ研修だとか、新たに開催されていますが、自分達の保育を公開し、講評される機会を作らなければ、なかなか保育の質の向上は難しいのではないでしょうか。
園長のことば (2018.11月)
今年は雨と猛暑で、外遊びする時間が充分に取れているように思われず、そのことが気になっておりました。外遊びには良い時候になりましたので、外遊びの時間を取れればと考えています。
おかげさまで運動会は、雲一つない晴天に恵まれました。おとうさんやおかあさんに押してもらう四輪カートへ乗っている時の桃組さんの満足しきった表情、おとうさん・おかあさんに抱っこしてもらっている時の黄・赤組さんの幸せそうな笑顔、親子リレーでの白組さんのあのうれしそうな顔。そして園児へ注がれる保護者のみなさまのあたたかな眼差しと笑顔が、いつも見慣れているはずの園庭を、いつもと違う園庭へかえているように感じました。ただただ幸せに満たされていた空間とでも表現したらよいのでしょうか。先生たちも、上手にやらなければ、上手にやらさなければといった気負いもなく、ごくごく自然体で、子どものその場その場の気持ちを受け止めることができていたように思います。
日々子どもたちがしあわせに過ごせることを保育のなかで大切にしたいと心掛けてますが、運動会当日の園児の姿を見て、いくら先生が頑張っても、それは先生と園児の関係で、親と子どもの関係ではないのだということを感じました。あたりまえの事なのでしょうが、子どもはおかあさんおとうさんが大好きなのです。大好きなおとうさんおかあさんにぎゅっと抱っこされている時のしあわせにまさるものはないのですね。。もう大きいのだからというようなことは言われずに、どうぞ抱っこを大切に。
園長のことば (2018.12月)
普段、家事はまかせっきりでスーパーへ行くこともないのですが、この11月は何度かスーパーへ行きました。ニチエーで買い物をしていると、「園長先生お久しぶりです」と小学校高学年になった□□君とばったりと出会いました。背が伸び体形も細くなっているように見えました。色白なのは相変わらずです。「何買ってるの?」と聞いてくるので「晩御飯だよ」と応えました。彼もおかあさんと晩御飯を買いに来ているようでした。そのあと、他のおかあさんともばったり出会いました。お店のなかで買い物をしているのを見られるのは少々照れくさいものです。
数日後、今度は改装されたハローズへいってみようと思い、行くと駐車場で白組の○○さんとお父さんに出会いました。店内をウロウロしていると、○○さんの「△△ちゃん、えんちょうせんせいがおるよー、こっちこっち」という店内へ響き渡る大きな声が聞こえてきました。思わずきょろきょろすると、そこへは白組の△△さんのおかあさんがおられました。園のなかで、「えんちょうせんせい」と呼ばれても恥ずかしくもなんともないのですが、お店のなかで、大きな声で呼ばれるのはなんとも恥ずかしいものです。たのむからもう大きな声で叫ばないでと思いながら、カートを押す速度が速くなってしまいました。
私は、料理をする気力もなく、お惣菜を買って帰ったのですが、たいがい、おかあさんが仕事帰りに食材を買われて、晩御飯の準備をされるのでしょう。それも毎日。仕事と育児の両立ということが当たり前のように言われますが、なかなかたいへんだと思います。
園長のことば (2019.1月)
11月14日の新聞に離乳食で窒息事故という記事がでました。事故はどこに潜んでいるかわからないと心配になり、乳幼児の窒息とSIDS(乳幼児突然死症候群)について調べ直しました。乳幼児の窒息については認識を改めなければいけない点はありませんでしたが、SIDSについては対策マニュアルを修正しなければならないことが判明しました。いままでの認識ではSIDSの80%は生後6か月未満の発症で、あと10%が1歳未満、残り10%が2歳未満ということだったのですが、これは家庭内でのデータであって、保育所でのSIDSの発生状況は違うと書いてありました。保育所でのSIDSの発症はほぼ1歳児で起こっており、それも入園後1か月以内に起こることが多いとありました。
いままで、SIDSについては6項目のチェックリストを作り、それに該当する1歳未満児については定期的な呼吸確認だけでなく呼吸器センサーを付けていたのですが、それでは不十分ですので、呼吸器センサー装着を入園1か月以内の2歳未満児にまで広げることにいたしました。また、乳児の心肺蘇生法(CPR)は全職員が知っておかなくてならないと思い、練習用人形とDVDを購入いたしました。
AEDの使用方法やエピペンの使い方、アレルギーの誤食を防ぐための手順等についても定期的に全職員で確認することを徹底しなければなりません。
ちなみに、保育所での重大事故が発生しやすい場面の1位は睡眠中、2位プール活動・水遊び、3位誤嚥(食事中)、4位誤嚥(玩具・小物)、5位食物アレルギーです。重大事故の発生しやすい場面の1位が睡眠中だというのに驚かれると思います。一番重大事故が起こりそうにない場面で、一番重大事故が起こっている。これは保育者が油断しやすい場面で、重大事故は起こるということなのでしょう。
さて、平成最後のお正月です。昭和が終わった時のことが思い起こされ、感慨深いものがあります。
園長のことば (2019.2月)
インフルエンザの流行期に入りました。28日月曜日からインフルエンザで欠席する園児が増えています。園は集団生活の場ですから、なるべく予防接種を受けてください。受けても受けなくても一緒ではないかと思われるかもしれませんが、受けている方が感染しにくいのと、感染しても症状が軽くすむといわれてます。
園として、園内でのインフルエンザ感染防止に努めていますが、園内での感染を完全に防ぐことはできません。なぜなら感染していても症状のでない潜伏期間があるからです。
潜伏期間のお子さんが園内におられると防ぎようがありません。
先日、「予防接種や予防的投薬等の処置を受けていなくて、兄弟がインフルエンザに感染している場合は、登園を控えてほしい」という内容の文書を配布しましたが、それは潜伏期間である可能性が高いからです。
感染症に対して神経質すぎではないか、インフルエンザなんてちょっと熱のでる風邪じゃないかという意見があることも承知しています。
可能性は低くともインフルエンザからインフルエンザ脳症を発症することがあること、乳幼児が脳症を発症した場合、重症化しやすいこと。脳症は致死率7%、後遺症25%だということ。それらを考えると神経質過ぎるといわれるくらいの対策が必要です。
それと、子どもが感染症にかかると仕事を休まなければなりません。子どもの体調が悪い時は、仕事を休むことができるというのが、社会の共通認識であればよいのですが、職場によってかなり温度差があるように感じています。
病気にかかりながら病気に対する抵抗力がつき丈夫になるというのはよく聞くところでありますが、園の立場からすると、そういうことはいえず、感染症をもらわない、他児へ感染させないというのを感染症にたいする基本方針にせざるをえません。
園長のことば (2019.3月)
つい、1.2週間前まで、スマホのライトで足元を照らしながら、早朝登園していたのですが、いつの間にかライトも必要なくなりました。夜明けが早くなり、春の訪れを感じさせます。梅も花を咲かせています。今冬は一度も雪が降ることもなく、氷ができたのも数回でした。子どもにとっては残念な冬だったかもしれません。
私は寒さ対策として電熱ベストなるものを購入し、セーターの下へ着用していました。セーターに穴があいていたのですが、電熱ベストは黒色なのでカモフラージュされ、ちょうどよかったです。
しかし、子どもはめざといですね。セーター越しに電熱ベストのスイッチが光っているのをすぐに見つけ、数人の園児が「園長先生のおっぱいのところが光っている」とか、「何なの?」とかとかいいながらすりすりと寄ってきて、スイッチを触ろうとします。
それで、「じつはね、ひみつなんだけど園長先生はロボットだったんだ。そのロボットのスイッチなんだよ」と言ったとたん、「触らせて」とセーターをひっぱられてしまいました。この電熱ベスト、温度3段階切り替え方式で、一番暖かいのが赤色、次が白色、一番温度が低いのが青色にスイッチが光ります。スイッチを押して色を変えてみせたところ、驚いたらしく、びっくりしたような表情で「園長先生、ほんとにロボットじゃったんじゃ」といっておりました。
もしかすると、近い将来ロボット先生がでてくるかもしれませんね。その時、市役所児童部で、童心園の前の園長は、書類のミスは多いし、期限には遅れるし、文句は言ってくるし、ロボット園長にしてよかったですねえ、と言われているような気がしなくもありません。
あとひと月で年長組さんとはお別れだと思うと少々感傷的になります。大切に丁寧にこのひと月を過ごしたいと思います。